千の脚を持つ男(編:中村融)
- 作者: 中村融
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/09/22
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 17回
- この商品を含むブログ (29件) を見る
と、いうわけで『千の脚を持つ男―怪物ホラー傑作選』である。『影が行く―ホラーSF傑作選』と『地球の静止する日―SF映画原作傑作選』とこれとでどうやらアンソロジー三部作ということらしいのだが、実際どう評価するかというと、うーん。
僕にとっての神アンソロジーが一冊あって、それは『影が行く』である。バラエティは豊富すぎるほど豊富で、スライム(超強い)ありエイリアンありゾンビあり吸血鬼あり狂ロボットあり狂人ありクラーク・アシュトン・スミスありでまさに至高の一冊といって良い。褒めすぎか。
翻って本書。致命的な欠陥が一つあって、あくまでこれが「地球怪物ホラー」アンソロジーだということ。つまり宇宙怪物が出てくるわけでもなし、たとえば表題作、「ティンダロスの猟犬」の作者の短編もキレというか予測不可能さ・けれん味が無さ過ぎる。収録作のほとんどが割りと視覚的なのはすごいと思うけど、おもちゃ箱をひっくり返してみたらレゴしか入ってなかったみたいな、あるいは焼肉屋に行ったらタレが一種類しかなかったみたいな、文句をつけるのは大人気ないし、確かに面白いことは面白いんだけどこじんまりしすぎていて物足りないというか、大体そんな感じ。テーマアンソロジーが好きだけど、テーマ絞りすぎるのも問題なのかなあ。そんなことを思ったり。
『フランケンふらん』と交互に読んでたから「お人好し」がかぶって参った。