サークルの経営について、アドバイスと覚書

いよいよ各大学も二次試験がたけなわになってきました。ちょっとまだ入学式には早いですが、今頑張り中の、そしてもう頑張り終わった皆さんに大学生活における、その何だ。アドバイス的な何かを捧げたいと思います。
とはいっても僕が伝えられるのは、それなりに面白い講義をしてくれる先生、生協の賢い使い方、学内でぐっすり寝られるポイント、大学近くのうまい中華料理店、最寄りの酒屋、床から天井まで本がみつしり詰まった古本屋……それぐらいの、言ってしまえば誰でも知っている情報がせいぜいのことです。それにもちろん、大学が違えば全く役に立ちません。これでは皆さんに喜ばれるアドバイスとはならないでしょう。
喜ばれるアドバイスとは、レポートの上手い書き方、恋人の作り方、ぼっちにならない方法など、一般的で皆の求めるものです。けれども僕はそれらの情報を提供することができません。なぜなら、知らないからです。自分の知らないことを他人に伝えることは、どうあがいても、無理です。


というわけで、僕は僕の知っていることをできるだけ一般化して伝えたいと思います。勉強にも色事にも現を抜かさず、ただ本とサークルのことだけ考えていた僕が知っているのは、ローカルな情報を除けば、サークル経営についてのアドバイスだけです。


なぜまだ入学してもいない人間にサークル経営についてのアドバイスをするのか、新二・三年へのアドバイスでいいじゃないのという意見は当然あるでしょう。しかし、それは悲しいことに間違っています。時間はあまりにも少なく、そしてやるべきことはあまりにも多いのですから。自分の好みに合うサークルがなく新しく何か立ち上げようと思う場合や、入ったサークルが思い描いていたものとあまりに実態が違っていた場合であれば、それはもうなおさらのことです。
というわけで、もちろん一番良いのは自分の趣味にあったサークルに入ることだと思うのですが、不幸にしてそのようなサークルが存在しなかった場合、皆さんは何をすればいいのか。新しくサークルを立ち上げたり、既存のサークルを改革したりする? 良いですね。それなら僕も何かアドバイスできます。

時間がないことを理解する

皆さんのまずやるべきことは、「自分たちにはとことん時間がないことを理解する」ことです。
皆さんには4年間という限られた時間しかありません。そこをまず理解しましょう。4年間しかいられないということは、例えば新入生へのビラ配りなら3回しかできないのです。トロトロ試行錯誤なんてしていたらあっという間に終わってしまいます。確かに時間を増やす裏技的な方法がないわけではありませんが、あまりお勧めはしません。院に行ったら行ったで忙しくなりますし、休学や留年のリスキーさ、不経済さは言うまでもありません。
それをきちんと理解できたなら、次に移りましょう。

戦力を把握する

俺たちには時間がない、早速何か始めないと……と思う前に必要なことがあります。それが「自分たちに何ができるのかを把握する」ことです。
言い方は悪いですが、自分たちの戦力をきちんと把握しないことには、何かをやろうと思っても得てして高望みになってしまいます。言い換えれば、顔を合わせるのが多いであろう同期の会員や、一緒にサークルを立ち上げる仲間が具体的になにができるのかで、方向性も決まってくるわけです。彼らの能力に関して不満があっても我慢しましょう。自分も大抵そう思われていますし、それに与えられた条件でなんとかやりくりするしかないのですから。何かできる人にお願いして仲間に引き入れても良いですね。

行動予定を立て、実行する

何ができるのかをつかんだら、今度は「何がしたいのか」を考えましょう。
これは各サークルの種類やメンバーの特性でさまざまに変わってくるはずですから、特に何も書きません。
実行する際の注意としては、あまり後先考えずにその場のノリでやると良いはずです。石橋を叩いてるうちに4年経ってしまうかもしれませんし。

反省

もちろんそのあとは素に戻って「やったことの反省」をしなくてはなりません。冷静になって自分たちの業績を見つめなおし、改善点を見つけてさらに良い活動ができるよう心がけていきましょう。

以降繰り返し

以降はそれらの繰り返しですが、ひとつだけ念頭に置いておきましょう。実働三年間というのは、ドブに捨てるにはあまりに長いですが、試行錯誤するには致命的なまでに短い時間です。短いスパンで繰り返しと改善を行なえればベストです。


……もちろんここまではいわゆる"plan-do-see"であり、わざわざ僕が言うまでもないことなのです。というかサークル経営にも"plan-do-see"が必要だったんだ!という新鮮な驚きめいたものが今僕の中に! 俺は今、モーレツに感動している! という感じなのですが、それはともかく「サークル経営」という問題ならではのオマケ行きましょうオマケ。むしろこっちが本題かもしれないじゃん。
あと一応言っとく。特に他意はない。

TIPS.1 OBをどうするか

新しくサークルを立ち上げる際はあまり関係ないはずですが、既存のサークルの場合、OBにまつわる問題は考えただけで頭が痛くなってくるというのが本当です。いわゆる「リアルたわばさんとか殺したいほどウザいよね問題」ですが、それはともかく、それこそすぐ上のOBであろうが、もっとずっと上のOBであろうが、ありとあらゆるOBに一度は殺意を抱くでしょう。
ちなみにOBは二つに分けることができます。

  1. 使えるOB
  2. 使えないOB

それから、こう分けることもできます。

  1. 苦にならないOB
  2. 苦になるOB

結論からいうと、いると苦になるうえ、使えないOB――例えば休みの日には部室に来て、休みじゃなくても部室に来て、何をしてくれるかというと置いてあるプレステでゲーム三昧、活動にはいらぬ口出して雰囲気悪くするというような――にはさっさと言いましょう。

「先輩、現役の士気が下がるのでもう来ないで頂けますか」
「先輩、いつも何して暮らしてるんですか」
「先輩、いつも先輩が画面占有してるおかげで俺らがスマブラできないんですけど」
「つーか早く実家帰れ おまえにも かぞくが いるんだろう」

などなど、できるだけ創意工夫して追い出してあげるのがグッドです。これがほんとの追い出しコンパ。
そして、苦にならないOBは使えようが使えまいが会を盛り上げるのに有効ですから、せいぜい協力してもらいましょう。
問題は苦になるけど使えなくもないOBです。もし彼が現状を全く知らないくせに「俺たちのころは〜」などなど夢見がちなことを言っていた場合、どうするか。ブチギレて赤玉ポートワインのビンでぶん殴るのはこの際良い選択ではありません。我慢してにこにこ話を聞いてやればいいのです。なぜなら親孝行の練習になるから……ではなく、OBというのは情報を持っているものだからです。そしてそれは多くの場合価値がありますから、せいぜい情報を絞りとりましょう。
ブチギレるのは心底役に立たないOBにだけで十分です。

TIPS.2 新勧をどうするか

新勧というのが山場としてあります。新入生への歓迎ではなく、新入生への勧誘です。できたばかりのサークル、もしくは立て直されたサークルとしてきちんと紹介と勧誘をしないことには、自分たちで代が途切れてしまいます。
とはいっても向こうに選ばれないことには意味がありませんから、きちんと相手をタゲって勧誘の方法を考えましょう。本当は本を読む人に来てもらいたいのに、人数が足りないからといって「ゲーマー募集!」なんてビラを貼るなってことです。
こぼれた人を拾う目的で、夏休み後などにまた説明会を開いてもいいかもしれませんね。
あと仕事の引継ぎはきちんとやりましょう。自分がウザいOBになったら意味ないです。

TIPS.3 最後にもう一度

何をするにも時間がありませんし、報われることも少ないのがサークル経営です。俺はこんなに頑張ってるのに云々など言いたくなることもしばしばですが、寒いのでやめましょう。そんな暇があればもっとサークルを盛り上げる努力をしましょう。自分の時間がなくなる覚悟をしましょう。ブログ書く暇もバイト行く暇もほとんどありませんし、車校なんてもってのほかです。それが嫌なら適当に合唱サークルでも入ってリア充すればいいと思います。
俺も合唱サークルとか……せめてもっと女子率高いとこ入っとけばよかった! あいつらリア充しやがって! ……となること必至なので、入ったうちからサークル経営とか考え直したほうがいいですよいやホント。


それでも皆さんが大学に入ってやりたいことがあるというのなら、そしてそれが現在のサークル状況ではかなえられないというのなら、僕はあえて止めません。祝福します。皆さんに多くの焦燥とかけらほどの喜びがありますように。