弁護士は奇策で勝負する(D・ローゼンフェルト)

弁護士は奇策で勝負する (文春文庫)

弁護士は奇策で勝負する (文春文庫)

今日は法廷ミステリを読みました。悪くない出来。

この種のものは話のパターンがとてつもなく限られてしまうよなあ。ミステリとはたいていの場合あっと驚く真犯人が明かされるものだけれど、なら舞台を法廷としたとき被告人はもちろん真犯人ではないし、主人公となるようなキャラクタは弁護士しかいない。だから『デッド・リミット』や逆転裁判2最終話などは変化球のようで面白いものだけれど、やはり直球あってこその変化球なので「弁護士が無罪の被告人を救うため八方手を尽くす」ようなものは忘れずに読んでおきたい。

というわけでこれ。「奇策で勝負する」というだけあり、冒頭での主人公の取る方法はものすごくトリッキィだが(ややもするといわゆる口の上手い悪徳弁護士的なイメージ)、実際は先ほども言ったような感じのオーソドックスな法廷ミステリなのである。
もっともこの弁護士アンディ・カーペンターは、「タフな台詞を言うつもりがおちゃらけた減らず口に変わってしまう」類の人間なので、キャラクタだけみると法廷モノらしいシリアスさ(例えば『評決のとき』のような。もっともあれは題材自体が重かったけど)はほとんど感じられない。あるいはそこも魅力のひとつかもしれない。

解説見るとシリーズ三作目が面白そうなんだけど、2作目までしか訳されてないんだなあ……。