鉄球姫エミリー(八薙玉造)

鉄球姫エミリー (鉄球姫エミリーシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

鉄球姫エミリー (鉄球姫エミリーシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

川上稔に似てるよと言われて、下ギャグとか説明台詞とかに確かにそんなものを感じたりもしたけど、実際川上稔はあんまり読んでないしよく分かんないや。


剣と魔法の物語、ではなく鉄塊と鉄塊の物語。ラストバトルからして鎖付き鉄球対鉄槌という色気のない話。いまいち視点人物が定まらないところや序盤のタルさ、輝鉄(唯一のマジックアイテムというか素材)の存在意義の無さなどに新人らしい荒削りさなど感じてしまうかもしれないが、書くべきなのはこれが珍しく「骨太」なラノベだということである。
そう感じたのはやはり登場人物がかなり死ぬことと、それにもかかわらずエモさと媚とがほとんど排除されていることからだろう。両陣営が全く閉じていることとそれによる「ごん、お前だったのか」的な敵対関係におけるエモさの排除や、脇役二人の再登場可能性と続刊の不可能性など語るべき点は多いが、それを書くにはあまりにも僕の睡眠時間は少ない。